陽の章 五禽戯


5 丹田の動き

 
 私が、周老師の五禽戯にひかれたのは、その動きが単なる表面的なモノマネとしての動きではなかったからです。

 老師の動きは、長い時間をかけて練りこまれた腹部や腰からの動作でした。それを気功用語では丹田の動きと言います。

 その動きは、すでに私が習っていた陳式太極拳の動きとまったく同じだったのです。私は、五禽の動きは太極拳(武術)の要素を五種類にまとめた「動きのカプセル」なのだと確信しました。

 ただ、ひとつ、問題だったは、老師の動きが、丹田から作られるデリケートな動きで、太極拳や気功を長い間実践した人でないと理解のできないものだったことです。

 私自身は太極拳を学びながらその動きを練習していきました。練習するうちに、それぞれの動物の意味や運動要素を分解的に解釈することができるようになりました。また、その要素をわかりやすくするために私なりのアレンジを加えました。

 その結果、二十数年たった現在、この本で紹介する「新しいタイプの五禽戯」を生み出す結果になりました。

 

 
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